平成30年に宅建法の改正で中古住宅の売買をする際にインスペクションの説明が義務付けられました。(既存住宅の流通を促進するとともに、宅地又は建物の買主等の利益の保護を図る事が目的) (※ちなみに説明と言っても過去にインスペクションを行ったかの有無を説明する事が義務になっただけなので、中古住宅全てにおいてインスペクションが実施されているわけではありません。建物調査のインスペクション自体は受ける受けないのは自由で任意選択制です。依頼者は売主(所有者)、購入希望者(購入した居住者)、購入して転売を考える宅建業者が行えます。) |
インスペクション(建物状況調査)って?よく誤解されるのですが、インスペクションは既存住宅の劣化具合を専門家を通して検査する事で、耐震診断や不動産鑑定とは異なります。 上記に買主等の利益の保護と書きましたが、分かりやすくに言うと、一般の人ではわからない、建物の表面上の見た目だけが傷んでいるのが、 構造体まで傷んでいるのか、雨漏りやシロアリ跡がないかを事前に調べておくことで 中古住宅購入後にどの程度の補修や費用がかかるのかが分かった上で購入ができるという事です。 もちろん既存住宅なので、建物を破壊せず、目視や検査器具を使って調べられる範囲のみの調査にはなるのですが。 なんとなく不安だから中古は嫌というイメージを目に見える形でクリアにしていく事で、予算内でお気に入りの一件を見つける事ができるかもしれません。 気に入る建物が見つかれば、今流行りのリノベーションでオリジナルの雰囲気や、 昔ながらの建物の良さを生かす家など、一から建物を建てるよりぐんと安価に行えます。 また、インスペクションと耐震診断をセットで行うこともできます。 できれば劣化度と強度を両方知った上での検討をお勧めします。 同じ築年数でも条件が違えば劣化具合は大きく違いますし、きちんとインスペクションをすればまだまだ使える家かわかります。 傷んだからと言って作っては壊し、作っては壊し、を繰り返すのではなく、手を加えながら大切に使われる家を目指します。 インスペクション(建物状況調査)の項目について基本項目 ■構造耐力上主要な部分に係る調査… 基礎(立ち上がり部分を含む)、土台及び床組、 柱及び梁、バルコニー、内壁、外壁及び軒裏、天井、小屋組(下屋部分を含む) 基礎…幅0.5mm以上のヒビ、20mm以上の欠損、コンクリートの激しい劣化、 さび汁を伴うひび割れ、または欠損(白華を含む)、鉄筋の露出。 土台及び床組…著しいひび割れ、劣化又は欠損 床…著しいひび割れ、劣化又は欠損、著しい沈み、6/1000以上の勾配の傾斜 柱及び梁…著しいひび割れ、劣化又は欠損、梁の著しいたわみ、6/1000以上の傾斜 外壁及び軒裏… ◇(乾式仕上げ)の場合 合板、ラス網、ボード、防水紙、 構造材その他の下地材(以下外壁等下地材)まで到達するひび割れ、 欠損、浮き、はらみ又は剥落。 複数の仕上げにまたがったひび割れ又は欠損。 金属の著しいさび又は科学的浸食 ◇タイル仕上げ(湿式工法)の場合 外壁等下地材まで到達するひび割れ、欠陥、浮き、はらみ又は剥落。 複数の仕上げにまたがったひび割れ又は欠損。 仕上げ材の著しい浮き ◇塗装仕上げの場合 外壁等下地材まで到達するひび割れ、欠損、浮き、はらみ又は剥落 仕上げ材の著しい浮き ◇その他の仕上げの場合 上記の場合における劣化事象ぬ準じる物 バルコニー…支持部材又は床の著しいぐらつき、ひび割れ又は劣化 内壁…合板、ボード、構造材その他の下地材(以下内装下地材)まで到達するひび割れ、 欠陥、浮き、はらみ又は剥落。6/1000以上の勾配の傾斜 天井…合板、ボード、構造材その他の下地材(以下天井下地材)まで到達するひび割れ、 欠陥、浮き、又は剥落。 小屋組み…著しいひび割れ、劣化または欠損。 ※共通…著しい蟻害の有無、著しい腐朽等の有無。基礎(立ち上がり部分を含む)鉄筋の本数及び間隔(構造耐力上問題のある不足の有無) ■雨水の侵入を防止する部分に係る調査… バルコニー、内壁、軒裏、天井、小屋組、屋根、外壁(開口部含む) ※設備配管については、委託者の依頼により行うオプション業務として配管設備(給排水、換気ダクト)、 設備機器(給排水、電気、ガス)について調査することがある。 だれが依頼するの?依頼者は売主(所有者)、購入希望者(購入した居住者)、購入して転売を考える宅建業者が行えます。 調査は何日?規模にもよりますが、一般の木造2階建てであれば1日程度です。 部分的に壊したりする?基本的には非破壊検査です。どうしても点検口等見当たらない場合、畳下の合板を一部開けさせていただく事をお願いする場合があります。 所有者の承諾が前提です。共同住宅の場合は、管理組合に承諾が必要な場合もあります。 見られたくない部屋があるんだれど。全体の調査をするのが基本ですが、あくまで所有者の承諾があった部分についてのみの調査です。 所有者の承諾が得られない部分については調査報告書の「確認できなかった範囲」に範囲とその理由を明記し、それ以上の調査は行いません。 売買時に調査者に再度説明してもらう事はできる?委任者は1年以内に調査対象となった住宅の売買等が行われる場合、重要事項説明等を補足する目的で、調査者に対し、本調査結果の再説明に関する依頼をすることができます。 どんな人が調査しているの?インスペクションを行う人は民間資格または建築士を持っていて認定を受けた者です①ホームインスペクター(民間資格) ②建築士の資格を持つ者で建築士会インスペクターの認定を受けた者 ③建築士の資格を持つ者で国土交通省による「既存住宅状況調査技術者」の認定を受けた者 の3種類です。
もちろん建築士の資格があるので今回、③番の講習を受けてきました。 合格済みです。
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